セブンイレブンのチャージ減額の使い道は?
セブン&アイ・ホールディングスの決算説明会で、社長の井阪隆一氏がセブン-イレブン・ジャパンの加盟店チャージを1%下げると発表したという報道には多くのセブンイレブン関係者が驚いたのではないでしょうか。
なぜなら、加盟店から受け取るチャージ(※)はフランチャイズシステムの根幹をなすもので、「下げることはありえない」と本部の社員も加盟店も考えていたからです。
セブンイレブンが日本にできて40年以上経ちますが、いままでチャージ率を一律で減額するということはありませんでした。ただ、約30年ほど前に一度だけ「Cタイプ」のチャージを減額したことはあります。また、開店5年経過店や15年経過後の再契約時、さらには2号店開店時などのインセンティブ・チャージは段階的に導入してきました。
では、今回のチャージ1%減額とはどのくらい加盟店に影響があるのでしょうか。日本経済新聞の報道によると、1店舗あたりで年間約80万円の増収要因になるとされています。仮に、この金額を全て時給アップに使うと、24時間営業店で常にパート・アルバイトを2人雇っている場合、全てのパート・アルバイトの時給を約46円上げることができます。
セブンイレブンの本部としては人件費の上昇や社会保障費の負担に伴う加盟店の減収分を補い、オーナーのつなぎとめや新規獲得につなげたい考えのようです。
また、井阪氏は説明会で減額理由について、
「社会保障の対象範囲が拡大するなか、社員を雇ってもらいたいと考えた。どの店にも効果があり、分かりやすいものとして、こういった対応を取ることにした。加盟店と一枚岩で取り組んでいきたい」と話しています。
しかし、どれだけの加盟店が増収分を社員確保や労働条件の改善に回すことができるでしょうか。せっかくの増収分ですがもともと無かったものと考え、人材投資に使ってもらえるように本部が経営指導することも「加盟店と一枚岩」になるためには必要な支援だと思います。
(※)フランチャイズビジネスにおいて、本部が加盟店から徴収するブランド使用料や経営指導料などの総称を「ロイヤルティ」と言いますが、セブンイレブンでは「加盟店チャージ」という呼称を使っています。