外国人技能実習生の活用:3つのポイント
最近、食品スーパーでコーチングやDiSCを活用した「従業員の定着率&育成力アップ」などの研修をしていると、人事担当者から外国人スタッフとのコミュニケーションや育成に関する質問を受ける機会が増えてきました。
よく話を聞いてみると、コンビニエンス・ストアのように店舗で働くスタッフではなく、その多くが食肉加工やパン・総菜などを製造するプロセスセンターで働く「外国人技能実習生」です。
このような相談を受けた時、私からアドバイスをするポイントが3つあります。
1.日本語と日本の慣習を学べる機会を作る
コンビニエンス・ストアであれば単なる作業だけではなく、レジ接客やさまざまなキャンペーンへの取り組み、発注などの業務にも関わるため、自然とお客様や他のスタッフと話をする機会が数多くあります。
しかし、プロセスセンターでは担当した単純作業を繰り返すだけで会話の機会が少ないのが現状です。これではいつになっても日本語が上達しないため、一人ひとりの生産性を高めることはできません。
1日5分~10分間、1週間に1時間でも良いので日本語と慣習を学ぶ機会を作り、「もっと日本語や慣習を学びたい」という外国人スタッフのニーズを満たすことがまず必要です。
2.外国人のスタッフ・リーダーを育成する
外国人スタッフが日本語を少し理解できるようになっても、その言葉の意味や慣習を正しく理解し、職場での言動改善につなげることは容易ではありません。そこで、必要になるのが外国人スタッフと日本人管理者との間に入り、仕事を教えることができるスタッフ・リーダーを育てることです。
同じ国の出身者であれば母国語で教えることができるため、仕事の覚えは格段に速くなります。また、他の国のスタッフであっても、同じ立場の外国人から指導を受けると抵抗が少いため、注意やアドバイスも素直に受け入れやすくなります。
まずは、日本語の上達が早く、素直で協力的なスタッフを見つけ出し、リーダーの必要性について話し理解を求め、スタッフ・リーダーの育成に努めましょう。
3.販売の現場(店・売場)を見学してもらう
プロセスセンターで仕事をしていると、自分たちの行っている作業しか見えないため、仕事(会社)に対する貢献意欲が高まらないばかりか、作業も疎かになりがちです。
そこで、最初の作業を教える前、または教え始めて1ヶ月経過した頃に店舗へ視察に行く機会を作ります。そして、自分たちの行っている作業がどのような形(商品)になり店頭に並んでいるのか、その商品をお客様はどのように買っているのかを見てもらいます。また、売場担当者から販売上気をつけていることや、商品の出来栄えなどについて話をしてもらうと、外国人スタッフの作業に対する意識は格段に高くなります。
今後、労働力がますます不足していく中、外国人スタッフの育成と活用ができるかどうかは企業の生産性を左右すると言っても過言ではないでしょう。
外国人スタッフは日本人以上にSNSなどの口コミを大切にします。
「あの会社で働くと日本語も技能も早く習得できていいよ!」
という評判が広がるような外国人スタッフの育成を、1社でも多くの食品スーパーには取り組んでいただきたいと思います。