「人の問題を解決する『実践コーチング』」が発売されました!
6月6日に、「人の問題を解決する『実践コーチング』」が㈱商業界から発売されました。
本書は、チェーンビジネスの店長や売場責任者から寄せられた従業員育成上の問題に対して、私が回答するという「Q&A形式」(第3章)を中心に構成されています。その回答の中で解決に必要な知識や会話事例を紹介すると共に、どのようなコーチングスキルや考え方が会話に活用されているのか、第2章の「コーチングの3大スキル」から学べるように該当ページも紹介しています。
本書が、管理職者の皆さまのコミュニケーション能力の向上に役立ち、チェーンビジネスの現場で起きている従業員育成上の問題解決につながれば幸いです。
下記に、本書から【はじめに】を掲載いたします。
少子高齢化に伴う労働力人口の減少やサービス産業の拡大、さらには小売業や飲食業などの店舗増加により、チェーンビジネスの現場では「人手不足」が経営上の大きな問題になっています。また、働き手不足による時給アップや社会保険料の負担増、働き方改革による人件費の増大などから、「現場の労働生産性をいかに高めるか」という点も重要な取り組み課題になっています。
そこで、多くの企業では「ロボット化」「IT化」「AI化」を進め、従業員の肉体的・時間的・精神的負担を減らすと同時に、人員を削減することで労働生産性を高めようとしています。
しかし、チェーンビジネスの現場で労働生産性を高めるにはこれだけでは不十分です。なぜなら、店や売場(商品)の魅力と業務の効率性を左右するのは、さまざまな動機や欲求、不安や恐れなどの「感情」を持った「従業員」という人間だからです。
会社(店)の経営方針や運営姿勢に満足していたり、上司や同僚、さらには部下とのコミュニケーションが良好な時、従業員の仕事に対する貢献意欲は高まります。その結果、従業員の定着率と仕事の習熟度は高まり、上司や会社に対して協力的になるため、目標や課題解決に向かう行動が強くなります。しかし、逆の場合は定着率が低下し、人員不足から現場の従業員は疲弊して行動が弱くなると同時に、自分が本来持っている力や情報を出さなくなる傾向があります。
つまり、会社(店)が労働生産性を高めたいと考えるのであれば、「ロボット化」「IT化」「AI化」だけではなく、管理職者が部下と良好な『コミュニケーション環境を整える』ことや、部下からの協力を効果的に引き出すためのコミュニケーション知識やスキルを身につける必要があるということです。
そこで、本書ではチェーンビジネスの現場(店)で日常的に起きている従業員育成上の問題を、店長や売場責任者(本書では「チーフ」を呼称)がコーチングを活用して解決することを提案しています。