セブンイレブンの不祥事と「契約タイプ上」の構造的な変化
セブンイレブンの本部と加盟店の双方で働いていた職歴または現在の仕事の関係から、セブンイレブンの不祥事やその対応に関する問題について意見を聞かれる機会が多くなりました。
そこで、意見を聞かれた時には「原因はさまざまな理由があると思うが・・・」という前提条件付きで、フランチャイズビジネス上の構造的な問題のひとつとして「加盟契約タイプの変化」を話しています。
セブンイレブンの加盟契約には「Aタイプ」と「Cタイプ」の2種類があります。
Aタイプは加盟者が店舗取得費や内装設備などの費用を全て負担するタイプで数千万円の初期投資が必要になります。一方、Cタイプは本部が店舗取得費や内装設備費などを負担するタイプで、加盟者は加盟金250万円(※)でセブンイレブンを開業することができます。しかし、毎月の売上総利益から本部に支払うロイヤルティ(セブンイレブンでは「チャージ」といいます)はAタイプと比較して高い比率になるため、同じ売上高でも加盟者の利益はかなり低くなります。
つまり、Aタイプは「ハイリスク・高リターン」、Cタイプは「ローリスク・低リターン」ということができます。
創業当初、セブンイレブンは街の酒屋を中心とした小売業に加盟してもらうことで店舗数を増やしてきました。そのため、加盟店のほとんどがAタイプでした。しかし、他社コンビニとの物件開発競争が厳しくなると同時に、チェーンビジネスとしての効率化を高めることを目的に『ドミナント化(高密度集中出店政策)』を進める必要性からCタイプの店を増やすようになりました。
この傾向は10年ほど前から顕著になり、2003年にはAタイプより少なかったCタイプの加盟店が、2018年にはAタイプの3.5倍にもなっています。(グラフ数値=店舗数、資料出所:セブン&アイHldgs.コーポレートアウトライン)【表はクリックすると鮮明・拡大になります】
AタイプとCタイプでは加盟者のコンビニ経営に対するニーズや価値観は異なります。しかし、セブンイレブンの本部はAタイプが過半数を占めていた時代の考え方で加盟店に関わっていたため、加盟者との間にさまざまな問題を発生させる要因の一つになったのではないかと、私は考えています。
(※)この他に初期の商品仕入代金が約500万円ほど必要になりますが、本部からの自動融資制度があるため、加盟者自身が資金を用意しなくても開業することは可能です。しかし、あくまでも本部からの借入金なので、毎月の営業利益から返済をしなければいけません。